日米欧など約140カ国・地域の金融監督当局で構成する保険監督者国際機構(IAIS、本部スイス・バーゼル)は9日、世界で活動する保険会社の経営の健全性を確保するため、新しい資本規制を2019年に導入すると発表した。各国の保険会社を統一して規制する初めての枠組みになる。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が進むなど、国境を越えた保険ビジネスの広がりに備える。
保険会社の資本規制は現在、日米欧など各国・地域がそれぞれ独自の基準を持つが、国際的な統一ルールは無い。銀行には主要国の銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が「バーゼル規制」と呼ぶ国際的な資本規制を設けており、これと似た仕組みを保険会社に取り入れる。
IAISは16年までに新規制の詳細を固め、試験運用を経て19年に導入する計画。保険会社が抱える顧客への支払い負担の可能性や運用資産の損失見込みに見合った資本額を求める。現行の規制が緩い国・地域では保険会社が追加の資本増強を迫られる可能性もある。
新規制の対象は本国以外で積極的にビジネスを展開し、資産規模も大きい保険会社。IAISが今後決める基準に従って各国当局が選ぶ。世界全体で50社程度に達するとの見方があり、日本の大手生損保は対象に含まれる公算が大きい。
主要国の金融監督当局は7月、世界の金融システムへの影響が大きい欧米と中国の巨大な保険会社9社を対象にした厳しい資本規制の導入で合意済み。IAISが今回発表した規制は、国際的に活動する保険会社をより広く対象にする。国内外の保険会社を同じ尺度で比べるルールができることで、顧客や投資家が保険会社の経営の健全性を把握しやすくなる。
ソース:日経新聞
0 件のコメント:
コメントを投稿